ロボット導入は本当に高いのか? 省力化補助金で実質500万円から始める自動化戦略
「ロボットで省力化したいが、数千万円もかかるなら現実的ではない」
「補助金があるとは聞いたが、うちの規模で使えるものなのかわからない」
製造現場の自動化を検討する際、こうした不安を口にされる経営者様は少なくありません。
バックオフィスのDXが一段落し、いま多くの企業が現場の生産性向上に目を向け始めています。
国も大型の省力化補助金を新設し、「ロボット導入=莫大な初期投資」という常識は変わり始めました。
本記事では、ロボットSIerである私たち松本鉄工が日々受けている相談や、実際に手がけた案件の費用感をもとに、補助金を使った場合の現実的な負担額から採択されやすい導入テーマまでをお話しします。
国も予算を拡大中。なぜ今、現場の自動化が注目されるのか

2024年、国はこれまで「ものづくり補助金」の一部だった省力化・自動化の枠を、独立させて「中小企業省力化投資補助金」を新設しました。
単独で名前をつけ、専用の予算を大きく確保する。これは、国がこの分野に力を入れていることの表れといえるでしょう。
背景にあるのは、DX投資の一巡です。
コロナ禍以降、多くの企業がIT投資を進めました。そしてある程度バックオフィスの効率化が満たされた今、その次のテーマとして現場の省力化に目が向いています。
実際に、松本鉄工への補助金関連のご相談もこの3年で急増しています。
当社が把握できている範囲だけでも、補助金を活用したロボット導入の件数は3年前の1件から、2年前は3件、昨年も3件。そして今年は2月の時点ですでに採択待ちの案件が3件と、年初から昨年の年間件数に並んでいる状況です。
2〜3年前に「まだ情報収集段階だから」と見送られたお客様が、いま再び連絡をくださるケースも明らかに増えました。ご相談の内容も、以前は「どういうことができますか」といった情報収集型が大半でしたが、現在は「実際に工場を見に来てほしい」「具体的な見積もりがほしい」という踏み込んだ相談が中心です。
「いつかやろう」ではなく、「今年中に動きたい」。そうした動きが、確実に増えています。
スモールスタートで投資リスクを抑えて1工程ずつ自動化する
とはいえ、ロボット導入と聞いて、テレビで見るような無人工場や全自動ラインを思い浮かべる方はまだ多いはずです。
海外の大手自動車メーカー向けのライン一式ともなれば、たしかに数十億円規模の案件も存在します。
しかし、それはごく一部の話です。
国内の中小製造業で実際に進んでいるのは、工場全体を一気に変えるのではなく、「人の手でなくても品質が保てる1工程(1ステーション)だけをまず自動化する」といったアプローチです。
広い工場にテーブルを並べて手作業で段ボールを組み立てていた現場。台車を使って端から端まで人が荷物を運んでいた現場。
そうしたロボットに任せられる定型的な作業にこそ、大きな改善余地が残されています。
最初から完璧を目指す必要はありません。
一つの工程から始めて、効果を確認しながら段階的に広げていく。これが、投資リスクを最小限に抑えるスモールスタートの考え方です。
相場は1,000万円前後。失敗しない費用感の捉え方

「で、結局いくらかかるのか」。
ロボット導入を検討する方が最も気にされるポイントです。ここでは、松本鉄工がこれまで手がけてきた案件をもとに、費用感をお伝えします。
人が台車で運んでいる搬送工程なら、300万円弱〜
工場の端から端まで、人が台車を押して部品や資材を運んでいる。
こうした現場をロボットSIerの視点で見ると、一日の作業時間の中で移動が占める割合が大きく感じます。その時間を生産作業に充てられれば、劇的な効率改善が見込めるケースが多くあるのです。
ここで活躍するのが、自律走行型の運搬ロボットです。
従来のAGV(無人搬送車)は、床に磁気テープを貼るなどの大規模なインフラ工事が必要で、システム一式で1,000万円を超えるケースも少なくありませんでした。しかし、最新の運搬ロボットなら、充電ステーションなどを含めても1台約300万円弱から導入できます。
現場に合わせて専用の棚を設計・製作したり、安全のためのカスタマイズを加えたりしても、おおよそ300万〜500万円の範囲内で収まるケースがほとんどです。インフラ工事が不要だからこそ、投資コストを最小限に抑えて現場をアップデートできるのです。
人がつきっきりのハンドリング工程なら、1,000万円前後〜
加工機と加工機の間で、加工済みのワーク(部品)を取り出して次の工程にセットする。
こうしたハンドリングと呼ばれる作業は、一人の作業者がつきっきりで行っているケースがほとんどです。
ロボット1台の導入にかかる費用は、現場の加工機やワークの形状に合わせた専用ハンドの製作、制御プログラミングまで含めて、およそ1,000万円前後が目安になります。
松本鉄工へのご相談で最も多いのが、この「1,000万円前後の1工程自動化」です。
もちろん、ロボットの台数が増えたり、ライン全体を構築したりすれば数千万円から数億円にもなります。しかし、まずは1ステーションからであれば、想像されているよりもずっと現実的な金額ではないでしょうか。
漠然と「何千万もかかるのだろう」というイメージで問い合わせをためらっている方がいるのなら、まずはこの費用感を一つの目安にしていただければと思います。
補助金活用で1,000万円の設備が利益を生む仕組み

費用感がつかめたところで、次に知っておきたいのが補助金の活用です。
中小企業省力化投資補助金にはカタログ型と一般型(オーダーメイド)の2つの申請カテゴリーがあり、それぞれ補助の上限額が異なります。
2つの申請カテゴリーと補助上限
カタログ型は、あらかじめ登録された製品を選んで導入するシンプルな仕組みで、補助上限は最大1,500万円。先ほど紹介したパッケージ型の搬送ロボットなどが、この枠に収まりやすいイメージです。
一方の一般型は、現場に合わせて設備を構築するカテゴリーで、補助上限は最大1億円。ハンドリングロボットのように、加工機の配置やワークの形状に合わせたオーダーメイドが必要な案件は、こちらに該当します。
中小企業向けの制度でありながら上限が1億円というのは驚かれるかもしれませんが、これはあくまで最大値です。1,000万円前後の案件でも問題なく申請できますので、「うちの規模では対象外だろう」と最初から諦めてしまう必要はありません。
投資回収シミュレーションで機会損失を計算する
補助率はカテゴリーや条件により最大1/2〜2/3(カタログ型は1/2以内)です。
ここでは、1,000万円のオーダーメイド設備を補助率1/2で導入した場合を見てみましょう。
設備投資額:1,000万円
補助金(1/2):500万円
実質負担額:500万円
この実質負担500万円に対し、その工程につきっきりになっている方の年間人件費を当てはめてみてください。
条件にもよりますが、1〜2年で投資回収が見えてくるのではないでしょうか。
さらに、人に代わってロボットが稼働することで、生産数そのものが向上するケースも少なくありません。1日100個だった生産量が200個に倍増すれば、売上増による投資回収はさらに加速します。
ロボットは、減価償却が終わった後も働き続ける資産です。実質的な寿命の目安は約10年とされており、仮に寿命を迎えた場合も更新が可能なため、長期的な運用を前提とした設備投資といえます。
数字で見れば、導入を先送りすることの機会損失も、改めて検討する必要があるかもしれません。
補助金が採択がされやすい3つの作業

補助金の申請にあたっては、「この設備を入れることで、どれだけ省力化につながるのか」を明確に示す必要があります。
裏を返せば、効果を数字で説明しやすい作業ほど、採択されやすいということです。
松本鉄工の実績を振り返ると、補助金を活用して受注に至った案件は以下の3つの作業に集中しています。
- ハンドリング(加工機への脱着・箱詰めなど)
- パレタイジング(パレットへの積み上げ)
- 自動搬送(工程間の運搬)
それぞれ、なぜ採択されやすいのかを詳しく見ていきましょう。
定番1. ハンドリング(加工機間の搬送・セット)
先ほど費用相場の例に挙げたハンドリングは、ロボットの先端にハンドを取り付け、対象物を掴む・持ち上げる・移動させるといった一連の動作を指します。加工機へのワーク(部品)の脱着はもちろん、製品の箱詰め、検品のための移動など、用途は多岐にわたります。
松本鉄工の補助金活用案件では、このハンドリングロボットが圧倒的に多いタイプです。
理由は明快で、「これまで一人の作業者がつきっきりで行っていた作業をロボットに任せられる」という省力化の効果が、誰が見てもわかりやすい点にあります。
浮いた工数を他の重要な工程に充てられるため、人件費の有効活用という点でも申請書類の説得力が高く、採択されやすい傾向にあります。
定番2. パレタイジング(製品の積み上げ)
パレタイジングは、段ボールなどの荷物を出荷用のパレットに規則正しく積み上げていく作業です。
この作業も、ハンドリングと同様に人がつきっきりになっている工程であることが多く、省力化の効果を数字で示しやすい特徴があります。加えて、腰をかがめての反復作業から作業者を解放できるため、労働環境の改善という観点でも評価されやすいテーマです。
近年は、補助金や助成金の要件に賃金の引き上げが組み込まれるケースが増えています。作業負担の軽減と賃上げ原資の確保を同時に実現できる点で、パレタイジングの自動化は補助金との相性が良い作業と言えるでしょう。
【番外編】自動搬送(工程間の運搬)
本記事の前半で導入しやすいとお伝えした搬送工程ですが、実は補助金の申請においては少し工夫が必要です。
搬送作業は専任の担当者がいるケースが少なく、作業者が本来の仕事の合間に行っていることがほとんどです。そのため、ハンドリングやパレタイジングのように「この工程から一人分の専従者をなくせる」といった単純な計算が成り立ちません。
こうした現場では、単にロボットを置くだけでは省力化の効果が認められにくいものです。
だからこそ、「搬送にかかっている時間を分単位で計測し、その時間を生産作業に充てた場合にどれだけ生産数が増えるか」といった、専門的な試算ロジックを組み立てる必要があります。難易度は高いものの、ここをクリアすれば搬送も補助対象になります。
カタログ品を現場の専用機へ。ロボットSIerと組むべき理由

ロボットは、買ったものを設置すれば即戦力になってくれるものではありません。
ハンドリングであればロボット先端のハンドは現場ごとにオーダーメイド。運搬ロボットであっても、棚やラックは搬送物に合わせた設計が不可欠です。
さらに、補助金の申請では省力化の効果を数字で証明する必要があり、とくに自動搬送のような工程では、現場の計測とロジックの構築にプロの目が欠かせません。
現場設計から、設備の製作、申請ロジックの構築、導入後の立ち上げまでを一貫して担えること。これがロボットSIerと組む最大のメリットだと考えています。
「安い既製品を導入したが、結局使い物にならなかった」という失敗だけは避けていただきたい。だからこそ、最初から現場のロボットSIerと設計図を描くことが、成功への最短ルートだと、私たちは考えています。
まとめ|自社の現場で「いくら」になるか。まずは無料の現場診断から

ロボット導入は、フルライン刷新のような大規模投資だけではありません。
1工程の自動化であれば1,000万円前後から始められ、省力化投資補助金を活用すれば実質負担は半額以下になるケースも十分にあり得ます。
いま、国も多くの企業も「次は現場」というフェーズに入っています。補助金は、導入を現実的な選択肢に変えるための制度です。
松本鉄工では、現場の視察から費用対効果の試算はもちろん、補助金活用のご相談については、信頼できる外部の専門会社とも連携しながら、導入までスムーズに進むようサポートいたします。
現場診断やお見積もりは無料です。「まだ導入を決めたわけではないが、うちの現場で補助金が使えるのか知りたい」という段階でも、問題ありません。
「うちのあの作業、自動化したらいくらになるんだろう?」
その疑問を解消するためにも、まずはお気軽にお問い合わせください。
ご相談はホームページ一番下の問い合わせフォーム入力、または電話よりよろしくお願いいたします。