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【製造業の人手不足を解決】ロボットSIerが明かす、失敗しない工場自動化の進め方

【製造業の人手不足を解決】ロボットSIerが明かす、失敗しない工場自動化の進め方

「工場の生産性を上げたいけど、慢性的な人手不足で手が回らない…」
「作業品質を安定させたいのに、人によるバラつきやミスがどうしても発生してしまう…」

全国の製造業の現場で、このような課題が深刻化しています。その解決策として注目されるのが「ロボットによる自動化・省力化」です。

しかし、「何から手をつければいいか分からない」「高額な投資に見合う効果が得られるか不安」といった声も尽きないでしょう。

この記事では、1965年の創業以来、製造業の現場に寄り添い続けてきた株式会社松本鉄工が、ロボット導入を成功に導くためのポイントを解説します。

そもそも「ロボットSIer」とは? 工場の自動化を支える専門家

ロボットSIerは、ここ10年ほどで広く認知されるようになった職種です。
自動化や省力化の需要が高まる中で、単なる機械メーカーではなく、「現場の課題を理解し、最適な仕組みを設計するパートナー」として注目されています。

ここではまず、「ロボットSIer」という言葉の意味と、その具体的な仕事の流れについて解説します。

ロボットSIerの成り立ちと広がり

ロボットSIerとは、「ロボットシステムインテグレーター(Robot System Integrator)」の略称で、ロボットを使ってお客様の課題を解決するシステムを統合(インテグレート)する専門家を指します。

かつて、工場の自動化においては「FA(ファクトリーオートメーション)機器メーカー」の呼び方が一般的でした。
しかし、近年では単に機械を製造するだけでなく、お客様の要望に合わせてシステム全体を最適化する力が求められるようになり、「ロボットSIer」という呼称が定着しました。

ロボットSIerの役割と仕事内容

私たち松本鉄工のようなロボットSIerの仕事は、ロボットメーカーから産業用ロボットを仕入れるところから始まります。
しかし、ロボットは購入しただけではただの「腕」にすぎません。

  • その腕の先に何を持たせるか
  • どのような架台(かだい)に設置するか
  • 安全対策はどうするか

このような課題に対応できる周辺設備をすべてオーダーメイドで設計・製作し、お客様の工場で本当に使えるシステムとして統合していく。
構想設計から、各種装置の製作、制御、配線、そして現地での設置・調整。さらには、導入後のアフターサポートまで、すべてをワンストップで手掛けるのが、私たちロボットSIerの役割です。

ロボット導入による「自動化」「省力化」のメリット

近年、多くの製造業がロボットを導入し、単に人の代わりに動く機械としてではなく、生産性・品質・安全性を同時に高める取り組みの一環として活用しています。
ロボット導入の真の価値は、設備そのものではなく、「人と機械がどう共存し、成果を生み出すか」にあるのです。

ここでは、ロボット導入によって得られる特に重要な3つのメリットを見ていきましょう。

メリット1. 人件費の削減と24時間稼働による生産性向上

もっとも分かりやすいメリットは、やはり生産性の向上です。
人間には休憩が必要ですが、ロボットは電力さえあれば24時間文句も言わず働き続けてくれます。
働き方改革が叫ばれる昨今、夜間や休日にロボットが生産を続けてくれることのメリットは大きいでしょう。

もちろん、導入には初期投資が伴います。ここで重要になるのが「その投資が何年で回収できるか」という視点です。

たとえば、3人で行っていた作業をロボット1台+人間1人にできれば、2人分の人件費が削減可能です。
この削減額とロボットの導入費用を比較し、現実的な投資回収計画を立てることが、リスクの少ない自動化につながります。

メリット2. 品質の安定化とヒューマンエラーの削減

「ロボットは忖度(そんたく)しません」。
これは私たちがお客様によくお伝えする言葉です。

人間は体調や集中力の波によって、どうしても作業品質にバラつきが出たり、ミスをしたりすることがあります。

しかし、ロボットならプログラムされた通りの作業を、寸分の狂いもなく、何度でも繰り返し実行します。
製品の重さを均一にしたり、決まった量を正確に投入したりといった、人が行うと微妙な差が生まれがちな作業も、ロボットの得意分野です。急な数値の変更にも戸惑うことなく、希望通りの結果をもたらしてくれます。

ロボットの導入により製品全体の品質が安定し、不良品の発生率を大幅に低減させることが可能になるのです。

メリット3. 3K作業からの解放と安全性の確保

高温・低温環境での作業、重量物の運搬、塗料や粉塵が舞う場所での作業など、人間にとって過酷な「3K(きつい・汚い・危険)」と呼ばれる労働環境は、依然として多くの工場に存在します。
こうした作業をロボットに任せることで従業員の安全性は大きく向上してきました。特に近年では「協働ロボット」という新しいタイプが登場し、その流れを加速させています。

協働ロボットは、ロボット本体に安全装置が搭載されており、従来必須だった安全柵なしで作業できます。ロボットのすぐ隣で作業できるので、限られたスペースにも導入しやすいのが特徴です。

ロボットの普及は、従業員を危険な作業から解放し、誰もが安心して働ける職場づくりを、ますます可能にしています。

失敗しないロボット導入の進め方・松本鉄工が語る3つのポイント

「ロボットを導入さえすれば、すべてが解決する」というのは残念ながら幻想です。
導入を成功させるには、まずロボットと人間の関係を正しく理解する必要があります。

身近な例で言えば、家庭用のロボット掃除機を思い浮かべてみてください。
ロボット掃除機が登場したとき、「もう掃除は不要だ」と思ったかもしれません。
しかし実際は、床に物を置かないようにしたり、段差をなくしたりと、人間がロボット掃除機の働きやすい環境を整えることで、初めてその価値が最大限に発揮されました。

工場の自動化も全く同じです。
「今の作業をそのまま置き換える」のではなく、ロボットの特性を理解し、人間との最適な役割分担を見つけること。この視点こそが成功の鍵となります。

ここでは、松本鉄工が数々の現場で培ってきた「失敗しないための3つの鉄則」をご紹介します。

ポイント1. 「人間がもっとも優秀である」という前提から考える

意外に思われるかもしれませんが、「人間がもっとも優秀である」という前提に立つことは、ロボット導入を成功させるための出発点です。
松本鉄工は「ロボットありき」で物事を考えません。

一例を挙げると、箱の中に散らばったネジと釘の中から、釘だけを取り除く作業です。人間なら五感と脳で瞬時に判断し、器用な手先で難なくこなせます。
しかし、ロボットにやらせようとすると、高精度のカメラと複雑なプログラムが必要になり、コストが跳ね上がってしまうのです。

工場の自動化も同じです。現在の作業をそっくりそのままロボットに置き換えようとすると、膨大なコストがかかるか、技術的に不可能という壁に突き当たります。

まず「人間でなければできないこと」と「ロボットでもできること、ロボットのほうが得意なこと」をていねいに見極め、ロボットが活躍できる工程を設計していく。
この視点が、現実的な自動化につながります。

ポイント2. 目的は「自動化」か、真の「省力化」か?

「自動化」と「省力化」は似ているようで、意味が異なります。
たとえば、今まで人が行っていた作業をロボットに置き換えたとします。
しかし、そのロボットを動かすためには、結局そばに人がついている必要がある。これは「自動化」はされていますが、働く人の数は減っていないため「省力化」にはなっていません。

私たちが目指すのは、本当の意味での「省力化」です。
つまり、ロボットの導入によって工場全体でかかわる人間の工数を減らすこと、あるいは人間がより付加価値の高い仕事に時間を使えるようにすることです。

そのためには、一つの工程だけでなく、その前後や全体の流れを俯瞰する必要があります。
「この工程を自動化すれば、現在AさんBさんCさんでやっている作業をAさん一人で管理できる」といった、視点でシステムを構想するのです。
ボタン操作が必要な工程では、前後の作業を連動させて自動搬送までつなげることで、初めて真の省力化が実現します。

ポイント3. 「見過ごされがちな単純作業」にこそ改善のヒントがある

お客様の中には「うちは手作りを売りにしているから自動化はできない」と思っている人も少なくありません。
しかし、改善のヒントは意外な場所に隠されています。

実際に、ある漬物工場のお客様も、当初はその一人でした。お客様は「職人の技が商品の核心だから」と、自動化を半ば諦めていたのです。
しかし、ヒアリングを重ねる中で見えてきたのは、製品の価値を決めるコア業務と、完成後の「箱詰め」や「運搬」といった付帯作業とでは、求められるスキルが全く異なるという事実です。

この気づきをもとに、季節や製品に左右されず年間を通して発生する出荷工程へのロボット導入をご提案。結果として、お客様の現場では生産効率の向上と作業負担の軽減を両立できました。

私たちは、こうした製造工程における「見過ごされがちな単純作業」にこそ、自動化の価値があると考えています。
製品の価値を左右するコアな部分は職人が担い、その周辺にある単純作業や重労働をロボットに任せる。すると、職人はより創造的な仕事に集中でき、会社全体としての生産性も向上します。

まとめ|自動化の実現は良きパートナー探しから

工場の自動化・省力化は、単に優れた機械を導入するだけでは実現しません。

  • 人とロボットの最適な役割分担を考えること
  • 工場全体の「省力化」につながる全体設計を行うこと
  • 見過ごされがちな「付帯作業」にこそ隠れた課題を見つけること

これらの本質的なポイントを押さえ、現場の課題に深く寄り添ってくれる「信頼できるパートナー」を見つけることが、重要です。

私たち松本鉄工は、多様な業界実績に裏打ちされた提案力と、構想設計からアフターサポートまで一貫して伴走する体制で、全国の製造業の皆様の挑戦をサポートします。
工場の生産性向上や人手不足の解消に本気で取り組みたいとお考えなら、ぜひ一度、松本鉄工にご相談ください。

ご相談はホームページ一番下の問い合わせフォーム入力、または電話よりよろしくお願いいたします。