運送業の人手不足対策|ドライバーの「運転以外の負担」を倉庫内ロボットで減らす
「採用にお金をかけているのに、なぜドライバーが集まらないのか」
「やっと入ってきた人材が、すぐに辞めてしまう」
多額の採用コストや、緻密なシフト管理システム。人手不足が深刻な運送・倉庫業界では、こうした人の確保と管理に多大な投資をしている会社が少なくありません。
それでも人が来ない、来てもすぐに辞めてしまう。
その理由のひとつが、運転以外の重労働です。運転がしたくてドライバーになったのに、気づけば重い荷物の積み込みや倉庫内の荷物移動に追われ、体を痛めて離職してしまう。
そんな悪循環が、現場で静かに進んでいます。採用コストをかけ続ける前に、まず現場の環境を変えるという発想が必要かもしれません。
今回は、自動車や食品をはじめとする製造業の自動化・省力化を手がけてきたロボットSIer・松本鉄工が、運送・倉庫業の実態と、ロボットによる解決策についてお話しします。
ドライバー離職の真因は、運転時間ではなく「運転以外の業務」にある

運送業のドライバー不足や2024年問題(労働時間の規制)が話題になるとき、議論の中心は運転時間に集中しがちです。長時間運転による肉体的・精神的なきつさは間違いなく存在します。
しかし同時に、現場のさらなる負荷を生んでいる大きな要因が運転以外の業務にもあるのです。
業務範囲のミスマッチが、定着率を下げている
ドライバーの業務は、運転だけではありません。倉庫業を兼ねる会社ではドライバーが荷物の積み下ろしや倉庫内の荷物の移動や仕分けまで担うことも多いでしょう。
「自動運転技術が発達しても、運送の仕事は絶対になくならない」。現場からはそんな声も聞こえてきます。
運転したくて入社した人ほど、想定外の重労働に消耗して辞めていく。実際の業務内容と入社時の期待にズレがある限り、採用コストをいくらかけても定着にはつながりません。
売上と給与を同時に削る、運転以外の業務
運送・倉庫業の収益構造を考えると、運転以外の業務がもたらす損失の大きさが見えてきます。
運転した距離や回数が給与に直結する会社では、ドライバー自身が「もっと走りたい」と考えていて、会社も「もっと運んでほしい」と考えています。両者の利害は完全に一致しているのに、出発前の荷の積み込みや倉庫内での荷集めに時間と体力を奪われ、出発が遅れ、1日2往復できるはずが1往復になってしまう。
運転以外の業務が、会社の売上とドライバーの給与を同時に削っているのが現実です。
倉庫内の雑務は、ほとんどが移動に集約される
ここで注目したいのは、倉庫内で発生する名前のない業務の構造です。
保管場所の入れ替え、出発前の荷集め、棚の整理。どれも本質的には「ある場所からある場所へ物を運ぶ」という作業に集約されます。
判断が必要な場面は少なく、繰り返しが多い。これは、製造業の現場でロボットによる自動化が進んできた工程と同じ構造です。
ただし、トラックへの積み込みや配達先での荷下ろしは現時点では自動化の手が届きにくい領域です。トラックにロボットを搭載するには電源の確保が難しく、配達先にロボットが置いてあるわけでもありません。
それでも倉庫内の移動の雑務を切り出すだけで、ドライバーの負担は大きく変わります。
中小の運送・倉庫業にも、手の届く自動化が登場している

「自動化は大手のもの」という認識は、ここ数年で見直されつつあります。中小の現場にも、無理のない投資規模で導入できるロボットが登場しているためです。
大手の高額システムとは別軸の、シンプルな搬送ロボット
EC・小売の大手企業が抱える巨大倉庫では、1台1,000万円以上、複数台導入すれば億を超える搬送システムが稼働しています。扱う品目数も処理量も膨大なため、それに見合う高性能・高価格のシステムが必要なのです。
しかし運送・倉庫業の現場で必要なのは、決まったエリアを行き来できる搬送機能であり、高度な判断や複雑な動作は求められていません。
倉庫内の移動がシンプルな構造である以上、シンプルな仕組みで十分対応できる。これが、中小向けの自動化を考える出発点になります。
磁気テープ不要のAI搭載ロボットなら300万円弱から
いま注目されているのは、飲食店で普及した配膳ロボットの技術を産業用に転用した運搬ロボットです。充電ステーションなどを含めても1台300万円弱から導入できます。
従来の自動搬送ロボット(AGV)は、床に磁気テープを貼り、そのレールに沿って走る仕組みでした。テープ敷設などのインフラ工事だけで1,000万円を超えることもあり、導入コストが大きな壁となっていました。
新しい運搬ロボットは、本体に搭載されたカメラやセンサーで周囲をリアルタイムに認識し、事前に作成したマップをもとに自律走行します。人やフォークリフトが通路にあっても、状況に応じて減速・停止・ルート変更が可能です。タブレット上でエリアを指定するだけでルート変更ができるため、テープを貼り直す手間もかかりません。
倉庫内の移動という課題に、手が届く価格で対応できる選択肢が出てきているのです。
倉庫内搬送の自動化が現場にもたらす変化

運搬ロボットを倉庫内に導入すると、現場のオペレーションは段階的に変化していきます。
朝の積み込み前、ドライバーが倉庫内を何往復もする必要がなくなる。出発直前のバタバタが減り、遅延が減る。腰に負担のかかる重量物の移動をロボットが担うことで、体を痛めて辞めるリスクも下がる。倉庫内での移動や、荷物を積み込み口まで運ぶといったちょっとしたロスタイムも解消されます。
そしてドライバーは、本来やりたかったハンドルを握る時間を取り戻せます。これまで雑務によって1日1往復だった仕事が2往復以上に増やせる可能性もあるのです。
プロのドライバーとしての本分を全うできる環境が、会社の収益とドライバーの給与を同時に押し上げ、重労働による離職を防いでいくでしょう。
現場視察から提案まで。低リスクで始める導入検討

ロボット導入の一般的な流れは、お問い合わせから始まり、現場視察、提案、見積もりを経て発注へと進みます。このうち現場視察から見積もりまでの工程を、丁寧かつ低リスクで進められるサービスがあります。
製造業の現場で実績を積んできた松本鉄工が、倉庫・物流現場にも提供している工場効率化診断です。
工場効率化診断では松本鉄工が現場へ足を運び、ヒアリングと視察をしたうえで、以下の3点を納品します。
- 3D CADによる構想図面
- 概算見積もり
- 投資回収試算
費用は20万円(税別)+交通費です。提案できないと判断した場合は一切の費用がかからず、発注に至った場合は診断費用が受注額から差し引かれます。
なかでも3D CADの構想図面は、自社の倉庫でロボットが実際に動いているイメージを可視化したものです。社内での導入検討や上申の際に、具体的な根拠として活用可能です。
「本当にうちで使えるのか」という疑問に、図面という形で答えを出す。「どうせうちの現場では無理だろう」と諦めてしまう前に、まずはリスクの少ない形で、現場の事情に即した具体的な提案を受けてみてください。
まとめ|採用コストより、環境を変える

人手不足への対応として、採用・シフト管理にコストをかけることは重要です。しかしそれだけでは、来ても辞めるサイクルを断ち切ることはできません。
ドライバーが本来やりたかった運転に専念できる環境をつくること、重労働で体を痛めて去っていく人を減らすこと。それが採用力の向上にも、定着率の改善にもつながっていきます。
「自動化は大手のもの」という思い込みを手放し、まず自社の現場を見直してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
ご相談はホームページ一番下の問い合わせフォーム入力、または電話よりよろしくお願いいたします。