「どこに頼んでも同じ」ではない|後悔しない設備メーカーの選び方
「設備を納めてから、本格稼働まで1年ほどかけて立ち上げていければ大丈夫ですよ」
先日、ある飲食業界のお客さまとの打ち合わせで、ごく自然な調子でこのように言われました。1年。松本鉄工にとっては、考えられない長さです。「うちの設備は納品したら次の日から普通に使えますよ」とお答えすると、今度は先方がとても驚かれました。
1年か、翌日か。どちらが正しいという話ではありません。ただ同じ「納品した」という言葉でも、翌日から使える状態なのか、そこからさらに1年かかる状態なのか、業界によってこれほど違う。お客さまからすれば、見過ごしにくい問題ではないでしょうか。メーカーが「納めた」と考える状態と、お客さまが「使える」と期待する状態にズレがあれば、困るのはお客さまの現場です。
ロボットSIer・松本鉄工が、設備メーカーの「納品」に何が含まれているのか、そして発注前に押さえておきたいポイントをお話しします。
なぜ「翌日から動いて当たり前」なのか

松本鉄工が手がける自動化・省力化の設備は、納めて終わりではありません。設置した翌日から、当たり前のように生産が回っている状態まで作り込んで、初めて仕事が完了する。業種を問わず、これが松本鉄工の基準です。
この基準のルーツは、創業から60年、自動車業界をはじめとするさまざまな現場で設備を手がけてきた経験にあります。
自動車業界で鍛えられた基準
自動車業界では、納期の遅れがそのまま生産スケジュールの遅れとなり、車の発売日そのものへと連鎖していきます。販売店への案内も広告の出稿も、発売日を起点に組まれているためです。発売日が決まれば、逆算して生産ラインの立ち上げ日も動かせなくなります。
納期を守れなければ、そのツケは必ず回ってきます。松本鉄工は長年この業界向けの設備を手がける中で、納期を守り、動く状態に仕上げてから引き渡すという基準を身に付けてきました。
問題は納品前に全て出しきる
何カ月も前から準備してきた設備が、いざ動かす段になって「うまく動きませんでした」では話になりません。生産開始の日は決まっているため、設備が動かないからといって後ろにずらせるものではないのです。それは自動車業界に限らず、どの業界でも同じことでしょう。
松本鉄工は、納品してから問題が出るのを待つのではなく、自社の工場にいながら課題を出しきってしまう考え方をとっています。この考え方は、自動車以外の業種の設備を手がける時も変わりません。そのため、自社での試運転には十分な時間を充てています。
自社の工場でも設備を床に固定して組み立てる

設備をお客さまの工場に納める時、アンカーで床に固定する設置工事が必要になります。アンカーとは、壁や床に穴をあけて器具をがっちり留める、固定具のこと。固定しなければ、ロボットアームの振動で設備が少しずつずれていき、やがて事故やライン停止につながるからです。
松本鉄工が他と違うのは、お客さまの工場に納める前の自社工場での組み立て段階から、アンカーで固定して組み立てと試運転している点です。このため、松本鉄工の工場の床はアンカーの跡だらけ。設備を出荷する時には切り離すとわかっていながら、毎回欠かさずやっています。
なぜそこまでするのか。自社工場での試運転を本番と同じ固定状態で行うためです。
条件が変わると、自社では出なかった問題が出る
固定せずに短時間だけ動かし、「問題なし」と判断して納品すると、自社工場と本番で条件が変わります。自社では気づかなかった問題が、お客さまの工場でアンカー固定して長時間動かして初めて現れることがあるのです。
そのような問題を防ぐために、自社工場でも本番と同じ固定状態で長時間動かします。実際の生産と同じ速度、同じ動作で問題が出るまで動かし続ける。1000万円前後の設備であれば、納期はおおよそ3〜4カ月。うち最後の3〜4週間を、まるごと調整と試運転に充てています。
半日程度の試運転では見えなかった不具合が、同じ動作を何度も繰り返すうちに初めて現れることがあります。固定した状態で長く動かせるからこそ、そうした問題を納品前に見つけ、その場で直すのです。逆に不具合の見つかる場所がお客さまの工場になってしまうと、持ち帰る際にはアンカーを外して設備を運び、メーカーの工場で直して、またお客さまの工場に設置し直す必要があります。その間ずっと、お客さまの生産計画は止まったままになってしまうのです。
使う人に触ってもらってから納品する
自社での試運転には、もう一つの狙いがあります。お客さまご自身に、納品前の設備を見ていただくことです。
ある程度仕上がった段階で、お客さまに工場まで足を運んでいただきます。実際に設備を操作する現場の担当者に、自分が使う場面を想像しながら「ここをもう少し変えられませんか」などといった要望を出していただく。
その場でまた調整し、「これならいける」と納得いただけたところで、初めて納品の日程を決めます。システムの世界で言えば、お客さまの環境と同じスペックのパソコンを用意して、使う人に実際触ってもらってから納品するようなものです。現場に着いてから「思っていたのと違う」を、起こさないためです。
設置した後も現場に立ち生産が回るまで見届ける
お客さまの工場に設置した後も、松本鉄工の仕事は終わりません。しばらく現場に立ち、実際に生産ラインが流れる様子をその場で見届けます。
指示を出すことも口を挟むこともせず、ただラインのそばに立ち、流れを見続けます。設備が止まったり、おかしな動きをしたりすれば、すぐに手を入れて生産を再開してもらう。また流れ始めたら、また見守る。その繰り返しです。
設備はすでに自社工場で十分に試運転を重ねています。それでも、現場に設置して実際に動かしてみて初めて分かることがあります。見届けながら手を入れられる状態で現場にいることが、翌日からの安定稼働につながるのです。1〜2日の立ち会いを終えたところで、ようやく松本鉄工の仕事が完了します。
「どこに頼んでも同じ」とは限らない

ここまで紹介してきた取り組みを「設備メーカーなら当然のことでは」と感じた方もいるかもしれません。ところが、同じ「設備メーカー」という看板を掲げていても、実際にできることは会社によって大きく異なります。
アンカーを打つには建設業の許可が必要
例えばアンカーを打って設備を固定する設置工事には、建設業の許可が必要です。工場の床に穴を開ける工事にあたるためで、この許可がなければ、設置工事そのものができません。松本鉄工もこの許可を毎年更新しています。
近年は発注側もコンプライアンス上、建設業許可の有無を確認するケースが増えています。許可がなければ、別途設置専門の業者を手配することになるためです。
以前、繁忙期に組み立てをお願いできる外注先を探していたときのことです。ある業者さんに「アンカーを打って、お客さまに試運転を見てもらえますか」とお尋ねしたところ、「うちはアンカー打ちをやっていないので無理です」という答えが返ってきました。同じ設備メーカーでも、できることは会社によって違うのです。
発注前に確認しておきたい4つのこと
設備を発注する時、価格と納期だけでなく納品の中身まで確認している会社はそう多くありません。発注前に、次の4点を押さえておくことをおすすめします。
- 自社工場での試運転は、本番と同じ固定状態で行われるのか
- 試運転の様子を、納品前に見せてもらえるのか
- 設置後、生産が安定するまで立ち会ってもらえるのか
- そもそも建設業の許可を持っているのか
どれも、発注前に一度確認するだけで答えが返ってくる質問です。試運転の方法や立ち会いの有無など、「納品」の中身が会社によってこれほど異なると、事前に知る機会はなかなかありません。だからこそ、気になることは遠慮なく聞いてみてください。
まとめ|発注の前に納品の中身をすり合わせる

冒頭の「本格稼働まで1年」という話も、いい加減な仕事という意味ではありません。その業界では、それが当たり前の進め方なのです。問題は、認識のずれたまま話が進んでしまうことにあります。動かない設備を前に困るのは、お客さまの現場です。
松本鉄工がお渡ししたいのは、設置した翌日から当たり前のように動き、長く使い続けられる設備です。その基準だけは、業界が変わっても変えるつもりはありません。
設備の導入を検討しているなら、見積もりを取る前に一度、相手に聞いてみてください。「自社工場での試運転は、どのように行っていますか」。その答え一つで、相手がどこまで考えているメーカーなのかが見えてきます。
もちろん、松本鉄工に直接お問い合わせいただいても構いません。納品の中身から設備の仕様、費用感まで、まずはお気軽にご相談ください。
ご相談はホームページ一番下の問い合わせフォーム入力、または電話よりよろしくお願いいたします。